四大の鏡
四大の鏡
イプセンの古城の最上部にある壁画の間には、4枚の鏡が安置されていた。
ジタンたちが、テラへの道を開く鍵である4枚の鏡を入手した時、
鏡の守り手であるダハーカが現れて「鏡を元に戻せ」と言った。
「テラへの大事なエネルギーが途切れた」からだ。
4枚の鏡は、ガイアの地表にあるエネルギーを、地下世界テラに送り込む機能を備えていたようだ。
同時にこれらの鏡は、世界の各地にある4つの祠に安置することで、
ガイアとテラを行き来する魂の道の封印を解く鍵となる。
物語の終盤、ジタンたちは入手した鏡を祠に置くことで魂の道を開き、テラへ向かった。
さて、4つの鏡の解説をメニュー画面で見てみると、
ジタンたちが鏡を入手する以前に、ある人物が鏡を所持していたことが分かる。
その人物の名はドクトル・コーラルという。
彼は4つの鏡について研究し、その研究内容を書き残した。
これを『テラ記』というのだが、僕は、コーラルが書いたのは手記程度で、
その内容も走り書きや覚え書きばかりの、未製本のものだったと考えている。
実際、テラ記の文章は一文一文が短く、推敲された様子も無い。
ゲーム内で、鏡について確認できる内容は以下のとおり。
「その形態より、“鏡”と記す。されどその意味、はるかに遠し。
異なる属性をそれぞれに持つ。裏に文字らしきもの、意味は……」
「魔導器と、技術の系統を同類としたが果たしてどうか……。
いずれにせよ、この世の技術で造り得るものではなきとみる」
「恐ろしき力、秘めるを知る!
だが魔導器ならば……、否、何かの制御に利用し……、あるいは力を……。
ああ、わが知性、その浅きを呪う」
「この鏡の所在がわからぬ今、事実の全てが闇へと消え去った。
その目的、ようとして知れず、知ったのはわが無能さのみ……」
コーラルは、4枚の鏡を入手した後、
それらが、異なる属性を持ち、異世界でつくられたものであることを突き止めた。
しかし、鏡が持つ本来の機能を解明するよりも前に、コーラルは鏡を失ってしまった。
なぜコーラルは鏡を失ったのか。
研究者である彼は、当然、貴重な研究対象を厳重に保管していたはずだ。
そう簡単に失くすとは思えない。
ひとつの可能性は、コーラルが入手した鏡をテラの人間――たとえばガーランドが奪取したというものだ。
ガイアからテラへエネルギーを供給していた4枚の鏡を何者かに奪われたことを知ったガーランドは、
鏡の所在を突き止めて奪い返し、イプセンの古城に再度、安置すると同時に、
古城への侵入者にまた鏡が奪われることがないよう、ダハーカで守った。
つじつまは合う。
しかし、ガーランドの慎重かつ冷徹な性格を考えると、鏡の奪取と同時に、コーラルを殺しておくのが自然ではないか。
コーラルが再び鏡を入手しようとしないように、命を絶っておくのが、ガーランドらしいように思う。
それとも、やはりコーラルを殺そうとしたものの、抵抗にあったのだろうか。
だから鏡を奪取できたことに満足し、コーラルの殺害はあきらめたのか。
あるいは、コーラルと戦ったときに思いのほか深い傷を負ったために、
ガーランドは表立って行動することをやめたのかもしれない。
彼は、テラとそこに眠るテラの民の魂、そして魂の器であるジェノムの管理者だ。
課せられた重要な使命を果たすためにも、彼が傷つくこと、死ぬことは許されない。
だからガーランドは、テラを離れてガイアへおもむくことをやめた。
ガーランドが飛空艇インビンシブルに乗ってアレクサンドリアを壊滅させたとき、
クジャは「バカな!! 奴が自らガイアにおもむくなどと……そんなことが……」と激しく動揺していた。
彼にとって、ガーランドがガイアにやってくるのは、想像もできない異常事態だったのだろう。
もしかしたら、ドクトル・コーラルとは、
テラの攻撃を受けながらそれに抵抗し、退けた、数少ない人間のひとりだったのかもしれない。
そして、後の英雄サラマンダー・コーラルが、その血を脈々と受け継いでいたとしたら、
なかなか熱い展開じゃないか(笑)
Mar.7.2010
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