“記憶の場所”という場所

“記憶の場所”という場所

“記憶の場所”という場所

FF9のラストダンジョン“記憶の場所”は、クリスタルの記憶がつくりだした異空間だった。
クリスタルとは、星の核であり、星に生きる命の記憶を刻み、その記憶から新たな命を生み出す存在である。 “記憶の場所”は、そんなクリスタルがつくりだした、過去の記憶がよりあつまった場所――のはずだ。
実際、ラストダンジョンに足を踏み入れたジタンたちは、そこで現在と過去の都市の様子や、その盛衰の歴史を見る。そしてついには、1000年前に起こった２つの惑星――ガイアとテラの融合、さらにガイア誕生、宇宙誕生の瞬間まで目撃する。

ここでジタンたちが目にするのは、すべて“現代”ないし“過去”だ。

しかし、ひとつ矛盾が生じてしまう。 FF9というゲームでは、開始から12時間以内にラストダンジョン記憶の場所の最深部に到達すると、レアアイテム“エクスカリバーⅡ”を手に入れられる。このエクスカリバーⅡは、最強の威力を誇るスタイナー専用の騎士剣であり、ジタンの持ち武器である盗賊刀アルテマウェポンと対をなす。
「対をなす」というのは、メニュー画面のアイテムコメントが、それを暗示している。アルテマウェポンは「ゲンセニオケルサイキョウノブキ」であり、エクスカリバーⅡは「ライセニウマレルキュウキョクノケン」なのだ。

クリスタルの過去の記憶がつくりだしたはずの異空間“記憶の場所”に、なぜか来世――未来において究極とされる剣が存在しているのだ。しかも「来世に生まれる」という言い回しが、とても意味深。
どうも記憶の場所というのは、“過去”や“現在”だけでなく、 “未来”も内包する空間だったようだ。

ここで僕は、記憶の場所で入手できる武器、ザ・タワー、メイスオブゼウス、ランスオブカイン、天使のふえ、ルーンの爪、そしてエクスカリバーⅡは、かならずしも現代に存在する武器ではなく、過去や未来に存在する武器である可能性もあると考える。
エクスカリバーⅡは未来の世界で作り出された剣であり、クリスタルを介して、現代のスタイナーの手に渡ったのかもしれない。

とある聖殿にて。

対面する騎士と神官。

「これは、エクスカリバーか？」
「ええ。かつて、英雄アデルバート・スタイナーが使った騎士剣です」
「刀身が折れている」
「いつのまにか折れていたのです。スタイナーが亡くなったとき、刀身もひとりでに折れたのだという噂が、まことしやかに流れたこともあったそうです」
「鍛えなおさないのか？」
「英雄スタイナーはこう予言しました。『来世、大いなる災いがこの世界を襲うとき、剣は鍛えなおされ、究極の剣として生まれ変わり世界を救うだろう』と」
「……そのときはいつだ？」
「もう間近です」

いつか「100年後の物語」を書いたとき、こんな場面をつくりたい。

ところで8のラスダンも、過去、現在、未来が混在する場所だったね。
9に盛り込まれた、過去ナンバーの要素のひとつか。

Jan.18.2010

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