モンク



モンク


FFシリーズにおけるモンクというジョブは、かなり独特な位置にある。
3では、海賊がクリスタルを守るため空手家(モンクの上位ジョブ)に変貌したという。
4では、宗教国家ファブールを守護する、徒手空拳を得意とする武僧たちのことを指す。
6ではマッシュの固定ジョブであり、彼は山奥で師や兄弟子とともに修行に明け暮れていた。 PS版ムービーでは、仏式を思わせる堂内で瞑想しているマッシュの姿が見られる。 もともと「monk」という言葉が「修道士」や「修行僧」という意味であり、 モンクに宗教色が付きまとうのは当然といえば当然ではある。
他のナンバーでは7のティファ、8のゼルがモンクを思わせる特性を持ってはいるが、 宗教との関連性は皆無であり、「格闘家」としての側面が強い。

では、サラマンダーはどうか。

彼の専用武器は爪であり、これは4に登場するヤンと同じだ。 またHP・MPを回復するチャクラを修得し、これは5のモンクと共通。
アルティマニアでは「拳闘士」と紹介されているが、 チャクラの他にもオーラや蘇生といった回復アビリティも持っている点から、 ただのケンカ馬鹿などではないことは明らかだ。

僕は、サラマンダーはある一定の期間、たとえば4に登場するようなモンク僧にまじって、武術や気を扱った術を学んでいたのではないか、と想像する。 そこで修得したのが奥義なのだ、と。 修行時代は、食事ももっぱら精進料理だった(笑)

天涯孤独の身であり、物心ついたころから殺すべき相手の顔しか見てこなかったサラマンダーは、 非常に過酷な生活を送ってきたことだろう。 彼は、勝者は生者、敗者は死者という鉄の掟のもとに生きていた。
だからモンクの術を学んだ。勝つために、生きるために。
サラマンダーが追い求めたのは、勝利し、生き残るために相手を傷つけ、殺す力だった。チャクラやオーラといった技も、あくまで自分ひとりが生き残る方策として身につけた可能性もある。 呪いや秘孔拳といった攻撃的なアビリティも修得しているのが、その証左になるかもしれない。
しかしサラマンダーの理念は、心身の鍛錬と研鑽を旨とするモンクの理念とは相反する。 もしかしたら、サラマンダーを教えた師や、彼と共に修行したモンク僧からも、 破戒僧のような扱いを受けていたかもしれない。ここでも彼は孤独だった。

「自分が何をしたいか、何ができるのか」

タイトルデモで流れるサラマンダーの自問は、 あるいは、モンク僧である師からの問いかけだったのかもしれない。そしてサラマンダーは、それに答えられなかった。

「その答えを今、出せというのか」

答えを出せない。

答えを出さない。

そうして、力の使い道を探すことから逃げて、強い相手を探すことばかりするようになった。
サラマンダーが“目覚める”のは、もうしばらく先のことだ。

Sep.23.2009



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