魔王



魔王


DQシリーズに登場するラスボスは、その多くが魔王を名乗っている。
世界を暗黒で支配しようとする魔王は、あらゆる魔物と魔族の頂点に君臨する。そして、世界に災厄をもたらす魔王を倒すために、勇者とその仲間が立ち上がる。こうした物語の流れは、DQの、全てのナンバーに共通している。

ところで、勇者と並び、半ばDQの代名詞ともなっている「魔王」だが、じつはFFにも「魔王」は登場している。
3のボスキャラクター、魔王ザンデがそれだ。ただしこの場合の「魔王」とは、魔物や魔族よりも、魔法との関連が深い。

ザンデは、かつて大魔道師ノアに師事していた魔道師だった。
ノアには、他にドーガとウネという2人の弟子がいた。
ノアが死んだとき、ノアは自らの魔力をドーガに、夢の世界をウネに、そして人間としての命をザンデに与えた。しかしザンデはそれが不服で、ドーガたちの前から姿を消した。そして時が流れ、ザンデは世界に闇をもたらすために動き出した。

FF3の本編ではほとんど語られることのない、これが物語の背景であり、事の発端だ。

たぶん、ザンデもドーガもウネも魔物なんだと思う。すくなくとも人間ではない。ウネの「ノアがザンデに与えた人間としての命こそ、最高のものなんだけど……ザンデには、わからなかったんだね……」という発言が、そのことを暗示しているように思える。
じっさいドーガとウネは、普段は人間の姿をとるが、戦闘時は異形の魔物に変貌する。もしこの魔物の姿を彼らの正体だと仮定すれば、魔王ザンデの姿が人間であることの裏づけにもなる。

かつてザンデも異形の魔物だったが、ノアから人間としての命を与えられたことで人間になった。しかしザンデは、与えられた人間としての命を「つまらないもの」と断じて切り捨ててしまった。

そして悲劇が始まる。

FF3に登場する魔王ザンデは物語の終盤に登場するものの、台詞も少なく、世界を破滅させる真意も明らかにしない。だからこそ、非常に想像をかきたてられる。魅力のあるキャラクターだ。

そんなわけで、僕が考える「魔王」というのは、魔物や魔族の王ではなく、魔法に秀でた人間である、というイメージが強い。

Jan.1.2009



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