肉体派の白魔道士


白魔道士


もともと白魔道士は、メイスやハンマーを装備できることから分かるとおり、 黒魔道士に比べて体力にも腕力にも恵まれていて、格闘に向いている。
白魔道士が刃物の携行を嫌うことからも、徒手空拳と白魔法は相性がいい。
実際、歴代ナンバーに登場するモンクは、疲労や状態異常を回復できる者が多く、 白魔法とモンクの親和性を裏づけている。

とくにサラマンダーは、チャクラ(HP・MP回復)、オーラ(リレイズ・リジェネ)、 さらに蘇生(戦闘不能回復)と、白魔道士も顔負けな回復系アビリティの使い手だった。
「勝者は生者、敗者は死者」とか「俺は常にひとりで生きてきた」とか言っているわりに、 人命救助に特化したアビリティを取り揃えているという、このギャップ(笑)。

だからサラマンダーは大好きさ。

Sep.7.2008


白魔道士は考察しがいのあるジョブだ。
おもに回復や防御の効果を持つ白魔法の使い手であり、 シリーズを通して女性キャラであることが多い……わけでもない。
具体例を挙げれば、FF4のローザや幼少期のリディア、 9のガーネットとエーコ。 10のユウナ。
いわゆる「ナンバー」で登場する女性白魔道士は、これだけだ。
他にジョブシステムを採用している1、3、5、では、 キャラクターは固定ジョブを持っておらず、そのために性別も特定できない。
6、7、8とジョブシステムを採用していないナンバーが続いたことで、その断絶間はさらに強まる。

それでも白魔道士=女性という図式が成立しえるのは、 「チョコボのダンジョン」シリーズに登場する白魔道士の少女シロマの影響が大きいのだろう。
ちなみに2に登場した白魔導師ミンウは男性であり、非常に珍しいパターンだ。

白魔道士の装備品が多彩なことにも注目したい。
9や10のように、杖やロッドと結びつきやすい白魔道士だが、 1、3、4、5といった初期ナンバーでは弓矢だけでなく、 ハンマー、フレイル、メイスといった重量のある武器まで使いこなす。
このイメージは、欧米のRPGに多く見られるクレリックに近い。

さて、白魔法の起源は、雨乞いや祈祷、傷を治し病気を癒すための呪術にある。 このことはFF3の攻略本でも言及されていて、僕の魔法考察の出発点だ。
各シリーズに登場する白魔道士は、たびたび「white mage」ではなく「priest」と英訳されてもいる。 これは「聖職者」という意味であり、白魔道士と宗教が不可分である証だ。
また4のローズや10のユウナは、「祈り」あるいは「祈る」というコマンドを持っている。
ケアルやレイズといった回復魔法は、こうした白魔道士の「聖性」を強調する。

その一方で、白魔道士が扱う白魔法には、血のにおいを漂わせるものも少なくない。
ブラインやサイレス、コンフュといった魔法は、敵の行動や能力を封じる。 これらは、3の攻略本では軍事利用を目的に開発されたと明記されている。
白魔法は、平和を祈る“正”の側面と、戦争に与する“負”の部分を併せ持っているのだ。

Sep.8.2009



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