闇と重力と死と
闇と重力と死と
闇とは、光が無く、何も見ることができないこと。野蛮を象徴し、恐怖や悲しみを呼び起こす。
多くの物語において、闇の眷属は邪悪な存在であり、世界に混乱をもたらす。
また、闇は引力・重力と結びつけられることも多いが、これはブラックホールから連想したんだと思う。
あらゆる物体が暗闇に引き込まれ押しつぶされるという描写は、多くの作品に見られる。こうしたイメージは、暗に闇と重力が関連していることを示しているような気がするんだ。
FFもそうなんじゃないかな。
たとえばFF8では、重力魔法グラビデが闇と関連づけられている。召喚魔法・闇よりの死者は、GFディアボロスを呼び出し重力によって敵を押しつぶす。
グラビデは、10-2で登場するドレス・ダークナイトの固有アビリティにも列している。
ダークナイトは文字通り暗黒騎士のことであり、闇に属する存在だ。
3に登場するアイテム・ブラックホールは暗闇をオーブに封じ込めたものであり、敵を異空間へ追放するデジョンの効果を持っている。デジョンは、グラビデと同じ時空魔法だ。
重力と闇については、僕もずいぶん早くから、物理面で関連していると考えた。
これは、超重力の天体ブラックホールと、無重力の空間である宇宙から連想したイメージにもとづいている。
闇は、宇宙と同一なのではないか。だから闇は、宇宙を支配する力――重力を自身の属性としえるのではないか。
一方、闇は、よく死と結びつけられる。
太陽の無い夜の闇は、暗く静かな異様な世界だ。人々は古来から闇夜を恐れ、そこに冥府への扉を見出した。
夜と闇の神は、同時に死者と冥府の支配者であることが多い。時には、生者を光で照らし出す太陽神の、もう一つの姿であることもある。
ファンタジーでもやはりそうだ。
モンスターとして主人公たちの前に立ちはだかる亡者――アンデッドは、多くの場合、闇の力によって呼び起こされた存在だ。
FF4はその傾向が顕著で、暗黒騎士セシルは闇の持つ負の力を操る戦士であったために、彼が用いる剣技はことごとくアンデッドに通じず、一旦、戦力外通告を受けてしまう。
そしてセシルは、闇の勢力と戦うために光を求め、聖騎士パラディンとなって戦線に復帰することになる。
……暗黒騎士の方がかっこよかったのに(爆)。どうもセシルのジョブチェンジを見てから、僕は闇に対して思い入れが深くなったらしい。
設定考察で暗黒騎士を取り上げたのも、闇を擁護したいという気持ちからだった。
3のリメイクに伴って魔剣士の能力が引き上げられたり、10-2でダークナイトがドレスとして採用されたり、11で暗黒騎士がジョブに列したりしたことで、暗黒騎士はどうやら復権したみたいだけど、あいかわらず闇には邪悪、負、死、災いなど、暗いイメージがつきまとっている。
だけど闇は、じつはそんなに怖いものではないはずなんだよね。
明かりがあるとなかなか寝つけないし、暗いほうがよく眠れるし(そういう問題か?)。
僕は「闇」はもっと普遍的な存在だと思っている。
かならずしも悪ではなく、もちろん善でもない。むしろ中立的な存在だと。
闇は死などではなく、音の無い宇宙や、安らかな眠りと結びつくものなんじゃないかな。
僕が書く物語の中で、たまに闇の魔道士や剣士が登場したりすることがあるけど、
彼らはたいてい朗らかで、人を食ったような笑みをいつも浮かべている。
でもけっして善人ではない。
どちらかというと、状況を引っ掻き回して事態を楽しむトリックスターのような役柄であることが多いね。
敵にすると、間違いなく最強最悪な相手になるんだけどさ。
Sep.24.2007
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