召喚魔法
伝承にある神や精霊を呼び出し、奇跡を起こす術。それが召喚魔法である。
もとは降霊術の偶然の結果から生み出されたものだったが、のちに「召喚士」と呼ばれる、額に銀の一角を持つ種族が独自に扱うようになった。彼らは伝承を手がかりにして古代から伝わる神や精霊――召喚獣を探し出し、それら超自然的な存在と契約を交わしていったのである。
しかし召喚士が見つけ出すことのできた召喚獣は、ごく一部ともいわれる。
現在、召喚士は滅びており、その血を引く者もごくわずかしかいない。
シヴァ
歴史上最初に発見された召喚獣であり、「氷の女王」として知られる。
吹雪を起こしたり氷柱を降らせたりなどして、敵を凍りつかせる。
シヴァは北方地域の伝承にあった雪の妖精で、少女あるいは女性の姿をとる。
呼び出す時間帯や場所によって、姿形はもちろん性格も変化する。これは全ての召喚獣に共通する特徴らしく、とくにシヴァはその代表例として、昔から召喚士に注目されていたようだ。
かつて氷の聖霊として人々に信仰されていたシヴァだが、彼女に関連する伝承はとうの昔に忘れ去られ、いまや召喚士一族が遺した文献の中にしか見出されない。
イフリート
「炎の戦鬼」とも呼ばれる召喚獣。
煉獄の炎を操り、眼前の敵を焼き尽くす双角の獣人。
伝承にしたがい火山地帯を探索していた召喚士が、炎の洞窟で発見した精霊。攻撃的な性質だったらしく、契約を交わす前に、腕試しと称して召喚士と激闘を繰り広げたという。
召喚士と召喚獣が契約するには、いくつかの条件がそろわねばならない。
とくに召喚士が満16歳になることはもっとも重要なこととされ、召喚獣と自由に契約するためには、この年齢に達し成熟する必要がある。これ以前に召喚獣と契約・解約するのは、肉体に過剰な負担をかけると考えられていたようだ。
しかし英雄エーコ・キャルオルは、成人以前に複数の召喚獣と契約を交わしていたが、それによって不利益をこうむったという事実は無い。彼女が特殊な例だったのか、そもそも「満16歳」という条件に根拠が無かったのか。研究者によって意見は分かれている。
ラムウ
「雷帝」。世界各地でその存在が語られる著名な存在。雨雲を起こし、雷電を呼ぶ。
多くの場合、杖を持った老人の姿をしていると伝えられ、実際に召喚される時もそのような姿をとる。召喚獣の中でも気むずかし屋で知られていて、これまでに彼と契約できた召喚士は少ない。
ほとんどの召喚獣は言葉を話せない。ほぼ唯一の例外がラムウで、彼は人語を解し、人と会話することができる。その他の召喚獣と意思疎通するためには、召喚士の額の角を用いなければならない。この角によって、召喚士は召喚獣と交信するのだ。
召喚魔法が召喚士によってしかなしえない技術とされた理由は、まさにこの一点にある。
アトモス
重力を操る異形の召喚獣。巨大な3つの口を持った姿をとり、その口であらゆるものを吸い込み、呑み尽くす。
ほとんどの召喚獣は言葉が話せず、意思疎通するには、召喚士が角を使いながら交信するしかない。アトモスはこの交信すら困難で、扱いには注意を要する。
アトモスに関する記録で最新のものは、ガイア暦1800年に起こった第四次大陸戦争のものである。アレクサンドリア軍がリンドブルムを攻撃したとき、アトモスを召喚したのだ。アトモスは重力を操り、リンドブルム城下工場区の住人や守備兵を呑み込み、市街を壊滅させた。
そして召喚獣の強大な力の前にリンドブルムは屈し、アレクサンドリアに降伏したのだった。
オーディン
「暗黒の戦騎」の異名をとる召喚獣。駿馬スレイプニルを駆る、大剣と槍の使い手。
その力は、ひとつの都市を跡形も無く消し去るほどに強大である。
オーディンは、魔術と軍事の神として古代から伝えられる存在だった。
召喚獣の性質は、術者の心のありようにも左右される。
オーディンは本来、僚友を愛し正義のために剣を振るう心優しい武神だった。
しかしアレクサンドリア女王ブラネが召喚したオーディンは、荒ぶる魂を宿した非常に凶暴な精霊だった。それゆえに、第四次大陸戦争において砂漠の都クレイラと、そこにそびえる大樹を破壊することにいささかも躊躇しなかった。
終戦直後、このオーディンが宿ったダークマターの所在が分からなくなった。危機感を抱いた八英雄とその仲間によって捜索が行なわれたが、現在にいたるまで、ダークマターは発見されていない。
リヴァイアサン
大海を統べる聖蛇として知られる召喚獣。
海流と貿易風を司るリヴァイアサンは、船乗りたちの守り神である。
西海のサルベージュ諸島――とくにセイクロブレス島で信仰を集めた存在。今はその信仰も廃れているが、ダゲレオなどの町の中には、リヴァイアサンにまつわる礼拝堂や彫刻が多く残っている。
リヴァイアサンは、現在知られている召喚獣の中では新参である。
その召喚の記録は、ガイア暦1790年のものが最初。このとき暴走したリヴァイアサンが竜巻と津波を起こし、召喚士の村マダイン・サリが壊滅したというのが定説である。しかし研究者の中にはリヴァイアサンによる被害はごく軽微で、マダイン・サリを破壊したのは、もっと別の力だったという説を唱える者もいる。
バハムート
「竜王」と呼ばれる、最強の召喚獣。
伝承によれば、人が大地を、竜が天を治めていた時代に、精霊王として世界を治めていたという。
アトモス、オーディンと同じく、第四次大陸戦争中に召喚された精霊。しかしその力を御すことはできず、竜王の怒りを買ったアレクサンドリア艦隊は全滅した。さらにバハムートは王都アレクサンドリアで破壊の限りを尽くし、アレクサンドリアの国力を低下させた。戦後、各国の復興が立ち遅れた原因も、ここにある。
後世、悲劇が繰り返されないよう、バハムートはアレクサンドロス王家によって封印されたという。
カーバンクル
額に紅玉がある兎の姿をとる。
召喚獣の中でも扱いやすく、主人に忠実な精霊。
召喚士が初めてリヴァイアサンを召喚した時、この召喚獣が呼び起こした災害によって、一族は甚大な被害をこうむった。召喚に失敗した召喚獣は召喚を試みた地に封印するのがならわしで、リヴァイアサンを封じた石像も、イーファの樹の根元に安置された。
さらに召喚士一族は、リヴァイアサンと外部の接触を防ぐために、大樹の周囲に結界を張った。このとき結界を張るため使ったのが、カーバンクルの力だった。カーバンクルの結界は、あらゆる物理的干渉を拒絶することができた。
その力によって、イーファの樹は10年にわたって外界から切り離されたのだった。
フェンリル
疾風によってあらゆるものを打ち砕く怪狼。
オーディンが登場する伝承では、頻繁に言及される存在。発見された時期も重なる。どうやら、オーディンの最大の敵対者だったらしいが、彼らに関連する伝承はすでに失われている。召喚士も、正確なことは知らなかったようだ。
フェンリルは風の精霊でありながら、その対極の力を持つ大地神タイタンを従えている。他の召喚獣を率いるほどの力を持つフェンリルは、召喚獣の中でも高位にあると推測できる。
タイタンは土の巨人であり、地中から現れ、その鉄拳で敵を空高くに打ち上げる。
通常、召喚士が一度に呼び出せる召喚獣は一体のみであるが、英雄エーコ・キャルオルは、フェンリルはもちろんタイタンをも同時に操ることができた。この事実は、彼女の能力の高さを裏づけるものとして研究者の多くが重視している。
フェニックス
伝承でのみ語られる不死鳥。
聖なる炎で敵を焼き尽くし、死者を蘇生させる奇跡を起こすという。
フェニックスを操った召喚士についての記録は無く、マダイン・サリの召喚壁にフェニックスと思われる召喚獣が描かれているのみである。
一部の研究者は、英雄エーコ・キャルオルがフェニックスと契約していたと主張している。
マディーン
一対の翼を持つ、白毛獅子面の巨人。鋭い爪と牙をそなえる。
雄々しい姿形とは対照的に、雌であることが明らかにされている召喚獣。
聖なる魔法によって邪悪を封じ込め、粉砕する力を持つ。
当初から召喚士は、伝承に従って召喚獣を探し出し、彼らと契約して主従関係を結んできた。彼らは長らく、召喚獣の存在が伝承を生み出すという立場に立っていた。
しかし後に、彼らは伝承を人々が語り継ぐうち、その記憶が実体化して召喚獣となるのではないかという仮説をうちだした。そして伝承が人の想いから生まれるのであれば、召喚獣もまた人の想いから生み出せるのではないか、と。
マディーンはこの仮定のもと、滅びゆく召喚士たちが、人の友として生み出し遺した存在だった。
壊滅したマダイン・サリの瓦礫の中で、ひとりの女性に新たな命が宿ったとき、召喚士たちは想いを紡ぎはじめた。そうしてエーコ・キャルオルがこの世に生を受けた日、マディーンもまた生まれたのだった。
アレクサンダー
「聖獣」。召喚士から守護神として崇拝された存在。
その力は竜王バハムートをはるかに凌ぐ。
太古に闇が世界を覆い尽くしたとき、召喚士の願いに応じて降臨し危難を退け、再び世界に光を取り戻したという。
ガイア暦1300年代に起こった第三次大陸戦争で、アレクサンドリア軍は召喚獣を戦力として取り入れた。捕らえた召喚士に召喚を強制し、そうして呼び出した召喚獣を兵器として利用したのである。
聖獣アレクサンダーも例外ではなかった。
しかしアレクサンダーは召喚に応じず、逆に、力におぼれた人間に審判を下してアレクサンドリアを崩壊させた。この事件をきっかけにアレクサンドリア、リンドブルム、ブルメシアの三国を巻き込んだ大戦は終結した。
召喚獣の力を畏れた人々は、アレクサンダーを王都アレクサンドリアに封印した。封印を解く鍵である宝珠はさらに4つに分割され、欠片のうち3つはアレクサンドリア、リンドブルム、ブルメシアの支配者に分配された。最後の1つは召喚士自身の手で外側の大陸へと運ばれ、その事実は秘匿された。
だが1800年、第四次大陸戦争の折に、バハムートに襲撃されるアレクサンドリアを救うためアレクサンダーは再び現れ、バハムートを粉砕したのだった。
目次
編集後記
上記に挙げた召喚魔法は、FF9に登場した召喚魔法のすべてではありません。アークが欠けているのです。その一方で、物語に登場しなかったタイタンについて言及していたります。
ここでは、そのことも含めて、召喚獣について解説していきましょう。
シヴァは、召喚魔法が導入されたFF3から登場しつづけている最古参の召喚獣で、冷気を操り敵を凍りつかせる能力を持っています。
物語内における彼女の設定で目を引くのは、発見当初は少女の姿をとり、しだいに成長していったというものです。実際シヴァの容姿は、作品ごとに少しずつ――ときには大きく異なります。
FF3ではどこか少女らしく、4・5では若い女性、6・7・8と妖艶さが加わっていくという印象です。9における、時間や場所によって召喚獣の姿が異なるという設定は、ナンバーごとに変化する召喚獣の姿を示唆しているのかもしれません。そしてシヴァが、その代表格とされたのではないでしょうか。
イフリートもまた、シヴァと同じく3から登場している皆勤者です。
2本の角を生やし、炎を操るという特徴は、すべてのナンバーに受け継がれています。8でそれまで人間然とした姿をしていたイフリートが獣化しはじめ、9で踏みとどまったものの、ついに10で四足獣となりました。容姿の変化が激しい点でもシヴァと共通しています。
炎の洞窟で発見されたというエピソードは、同名の洞窟でイフリートを入手するという8のイベントを意識したもの。
雷帝ラムウは、非常に知名度の高い召喚獣です。9では、召喚獣を失ったガーネットに試練を課し、彼女の召喚士としての力を引き出すという重要な役割を担いました。
彼とガーネットの会話からは、召喚魔法に関する様々な事実が読みとれます。
召喚獣は、呼び出した人間の意志に呼応して、神にも悪魔にもなること。
召喚獣に関する文献が存在すること。ガーネットが召喚魔法を恐れていたこと。
ラムウが長いこと特定の主を持たなかったように、召喚獣は独自の意志で行動できること。
ピナックルロックスでのラムウの言動から、彼はあくまで第三者の立場でガーネットを見守り、その行く末を確かめようとしているようです。その関係は主従というより、むしろ対等で、距離をおいている印象を受けます。
あるいはラムウは、くりかえし力を欲し破滅する人間を見て、絶望しかけていたのかもしれません。だから人里から離れた場所でさまよっていた。ガーネットに力を貸すことを決意したのは、彼女の中に希望の光を見出したからなのかもしれません。
アトモスはわけが分かりません(爆)。神にしては格好が悪いし、悪魔にしては間抜けな顔をしています。もとがモンスターですからね。5でボスとして登場したアトモスは時空をゆがめ、異空間を現出させる力を持っていました。これが、重力を操るという能力と結びついたのでしょう。同じ重力使いの召喚獣なら、ディアボロスの方が好みだったりします。
ところで、召喚獣に昇格したモンスターは少なくありません。アトモスはもちろん、カーバンクルだってもとは岩の怪物です。9に登場するモンスターでもゴブリン、カトブレパス、ガルーダ、ケルベロスなどが、他のナンバーで召喚獣として登場しています。
オーディンは、スレイプニルを駆って斬鉄剣を振るい、眼前の敵を一刀両断にする召喚獣です。7以降、槍グングニルも併用しています。
物語の中盤でブラネによって召喚されたオーディンは、その槍の一投でクレイラを壊滅させました。そのときの禍々しい姿は、9における召喚獣の特性を象徴しています。彼らは、術者の精神状態によって「神にも悪魔にもなる」のです。
ダークマターの所在について、僕は行方不明であると書きました。これは、召喚獣について考察しはじめて気づいた、一つの可能性なのです。
終戦後、オーディンはダークマターに封じられました。このダークマターは、トレノで開かれるオークションで競り落とせば入手できます。逆にいえば、ジタンたちが冒険をほうってオークションに参加しない限り、ダークマターは手に入らないのです。
場合によっては、オークションの元締めであるキング家がそのままダークマターを所有することもありえます。キングは黒魔道士兵の製造者であり、ブラネに戦争をけしかけた張本人です。ダークマターとキングが結びつくことに、僕は、ある種の危機感を感じます。
考察でダークマターの所在を明らかにしなかったのは、FF9という物語からRPG特有のゲーム性を排除することで生まれる可能性を反映させたためです。
リヴァイアサンもまた、考察しがいのある召喚獣です。
エーコの言葉によれば、リヴァイアサンの召喚が失敗し封印されたのは、彼女が生まれる前――つまり1794年以前のことです。
同時にアルティマニアには、1790年にマダイン・サリが滅んだと明記されています。その直接の原因は、召喚の際に発生する高エネルギー反応を観測したガーランドが、エネルギーの発生源である集落を破壊するようクジャに命じたためでした。
これら2つの点から、リヴァイアサンが召喚されたのは1790年、マダイン・サリが滅ぼされる直前であるとほぼ断定できるのです。
リヴァイアサンについて考察する上でもう一つ無視できないのが、ダゲレオです。
ダゲレオは巨大な図書館を持ち、ここは同時に水神を祀る神殿としての役割もあります。そしてこの建物の中に見られるタペストリーは、明らかにリヴァイアサンを模したものです。リヴァイアサンが召喚獣であり、同時に人々に信仰される神であるという設定は、こうした事実から導き出したものでした。
竜王バハムートは、物語の中でもっとも活躍する召喚獣です。ただしその活躍の仕方は、あくまで負の方向に向かったものでした。
イーファの樹付近の海戦において、ブラネはクジャを倒すためバハムートを召喚しました。機動力、破壊力に優れたバハムートは最強の名ににふさわしい戦いぶりを見せたものの、クジャの策略によって暴走して術者であるブラネを攻撃し、その命を奪いました。
その後、クジャによって再び召喚されたバハムートは、アレクサンドリアの都で破壊の限りを尽くし、市街を火の海にしました。オーディンやアトモス以上に、その「悪魔」としての側面を強く示した召喚獣です。
しかしその直後にバハムートは、ガーネットとエーコによって召喚された「神」アレクサンダーと対峙し、あえなく敗れ去りました。
アークは、設定考察に挙げませんでした。
浮遊石を入手することで召喚できるようになるアークですが、その浮遊石を入手するにはダークマター以上に時間と労力が必要です。このことから、アークについての記述はしませんでした。
ただし記述はしなくても、いろいろ考えてはいます(爆)。
アーク(方舟)という名称から単純に連想できる設定は、アークはテラの民が移住のために建造した船である、というものです。
ガイアにはテラに関わる施設が数多く点在し、それらはいくつかの系統に分類することができます。そのうちウイユヴェールとグルグ火山は、クジャやガーランドと直接的な関わりを持っていません。ガーランドはイーファの樹以外の施設について発言したことがありません。クジャも、魔力を封じる結界に囲まれたウイユヴェールに近づけませんでした。クジャが立ち入ったグルグ火山にしても、ウイユヴェールにあったグルグストーンを入手して初めて入ることができたのです。
もしかしたらテラの民は、かつて2つの勢力に分裂したのではないでしょうか。
ガーランドのように星の内側から地上に干渉することで、ガイアをテラと同化させようとした勢力。もう一つが、テラとガイアの同化など考えずに、早期に地上に移り住み定着しようとした勢力。ウイユヴェールとグルグ火山は後者の勢力に属する施設であり、だからガーランドやクジャは関わりを持てずにいたのでないか。そしてアークとは、移住のために使われた船――あるいはその船の記憶が生み出した召喚獣なのではないか。
まだまだ考察する余地は残っています。
カーバンクルは、封印の地を取り囲む結界をつくりだすため、イーファの根元に留め置かれていた召喚獣でした。
この地に封印されていた召喚獣がリヴァイアサンであり、その強大な力を抑えるためにカーバンクルの力が必要だったのです。カーバンクルの結界は、一切の物理的干渉を拒絶する強力なものでした。
フェンリルは6から登場した召喚獣です。
彼が用いる技は「大地の怒り」と「千年の風化」ですが、フェンリルが実際に行使するのは後者の技のみ。前者の技は、フェンリルの呼びかけに応じて現れた土の巨人が突き上げる、拳の一撃です。
そもそも「大地の怒り」とは3で初登場したタイタンの持ち技で、地震を引き起こすというものでした。これが、どういうわけか9ではフェンリルの通常技とされているのです。シリーズとの兼ね合いから「あの岩の巨人はタイタンなのだろう」と考えて、記述に加えておいたのでした。
フェニックスは、9に登場する召喚獣の中で唯一の乱入型です。パーティにエーコがいる状態で全滅したとき、一定確率で自動召喚され、パーティメンバーを復活させます。通常は、敵に炎属性の攻撃をした後、戦闘不能状態の味方を復活させます。
9に登場する召喚獣は、全部で13体。
そのうちシヴァ、イフリート、アトモス、オーディンそしてバハムートは、ガーネットの初期アビリティとしてすぐに存在が確認できます。
フェンリルもまたエーコの初期アビリティにあります。
ラムウとカーバンクルそしてリヴァイアサンは固有のイベントを経て、強制的に入手できます。マディーンも同様です。
アレクサンダーは物語の根幹に関わる、最も重要な召喚獣です。
数少ない例外がフェニックスとアークで、ガーネットやエーコの初期アビリティに無く、入手のための強制イベントも存在しません。「物語に登場しない」のです。だから記述も最小限にしてあります。
マディーンは、エーコの幼馴染であるモグが本来の力を発揮した姿です。
エーコのそばにいることを望んだマディーンは、生まれたときから召喚獣としての姿を隠し、モーグリとして生きていました。しかしエーコの危機に際して感情を昂ぶらせたモグは、トランスして真の姿を現し、マディーンとしてエーコの力になることを選んだのでした。
聖獣アレクサンダーは、召喚士一族から「聖なる守護神」「大いなる守護神」として崇拝される存在でした。アレクサンダーを召喚する際にエーコとガーネットが唱えた文句の内容から、そのことが分かります。
ですが500年前――つまりガイア暦1300年にアレクサンダーの暴走によってアレクサンドリアが壊滅したことが、アルティマニアとゲーム中に得られる情報から明らかです。だからアレクサンダーは聖石に封印され、さらに4つに分割されたのです。それにも関わらず、召喚士たちはアレクサンダーを守護神として崇めていました。なぜでしょうか。
バハムート襲撃時にアレクサンダーを召喚したとき、エーコは「聖なる召喚獣に呼ばれている」と発言していました。だから召喚し、召喚士としての運命をまっとうしなければならないのだ、と。
どうやらアレクサンダーは、他の召喚獣と異なり、召喚士に対してかなり優位に立つ存在のようです。
アレクサンダーが是としないかぎり召喚士の声には応えず、逆に召喚しようとする者を滅ぼすこともいとわない。しかし必要とあらば、アレクサンダーから召喚士に働きかけて自分を召喚するよう促し、その力で世界を救う。
おそらく500年前にアレクサンダーが暴走した事件よりもずっと前に、アレクサンダーが世界の危機を救ったことがあったのです。その時の記憶から召喚士はアレクサンダーを神として仰ぎ、1300年に起こった災いの後も、その信仰が生きつづけたのではないでしょうか。
召喚獣は「神」にも「悪魔」にもなるのです。