女海賊



アリシア・ファブール



唐突に描きたくなったオリジナルキャラクター。
海賊大公』で言及した、リンドブルム大公シドの祖先アリシア・ファブールです。鋼鉄のハンマーを振り回しながら、海の荒くれどもを率いる若き頭領。強い女性が大好きです。姐御万歳(爆)。

もともと彼女は、FF2のレイラ、5のファリスを参考にしながら創作した人物です。いつのまにか面影が無くなっていきましたが(笑)。豪胆で悩み知らずなのだけど、女性らしい繊細さも持ち合わせている、そんな人だと思います。

両親は海賊ではなく、アリシア自身も幼少の頃は一般家庭で育ちました。しかし父親が急逝したのを機に祖父に引き取られ、海賊の長となるべく育てられたのでした。その反動なのか、「普通」な娘に対する憧れをずっと抱き続けています。

イメージカラーはレイラと同じく紫。紫は通常、王族にしか使用が許されない高貴な色ですが、海賊はんなこた気にしません。

そういえばこのビジュアル、むかし描いたボツ作品に登場した女海賊によく似ています。ポニーテールで胸が大きいところが(それだけかい・笑)。


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編集後記


 アリシアについての設定です。長いっすよ(笑)。


 アリシアは、かつて霧の大陸近海を荒らしまわっていた大海賊シドルファスの孫娘であり、祖父の死後、彼が率いていたファブール団を若くして引き継いだ女傑だった。

 類まれな武才を誇りながら時勢を読む力にも恵まれていた彼女はその知性を活かして、武闘派で知られていたファブール団の勢力を一気に広げていった。ファブール団はリンドブルム王国の東にある島々を根城にしながら、付近を通る商船を襲い、悪名をとどろかせていた。
 猛者ぞろいのファブール団に対抗できる海賊は数少なく、軍も手を出せずにいた。

 しかしアリシアがリンドブルム王子ラディアスと出会ったとき、事態は変わりはじめた。

 領海を荒らしまわる海賊に対し有効な施策がとれずにいる父王に業を煮やした末の王子ラディアスは、自ら艦隊を率いて海賊を駆逐することを決心し、ファブール団と対決した。もともと海軍将校であるラディアスとアリシアの実力は拮抗し、戦闘は長期化した。
 ついにラディアスが海賊に捕らえられることで決着はついたのだが、ラディアスは見苦しい命乞いもせず、自身の生命を早々に海賊の判断にゆだねた。
 逆に慌てたのは海賊の方だった。捕虜にした王国軍の指揮官が王子であることを知って、彼らは動揺したのである。王族を捕虜にするということは、すなわち国全体を敵に回すことを意味していた。1個艦隊ならまだしも、王国軍が総力を挙げて王子を取り返しに来ればひとたまりもない。
 王子を軍に引き渡せば事は簡単にすみそうだったが、王族誘拐は縛り首というのが慣例。ファブール団は身動きがとれなくなったのである。

 ただひとり、アリシアだけが冷静に事態を見つめていた。

 アリシアは、海賊に捕らえられてなお泰然と振る舞うラディアスに興味を抱いていた。食事も自ら運んでやり、ときには2人してチェスに興じることもあった。アリシアの他愛もない話をラディアスが静かに聞き、そうしているうちに夜が明けることもあった。

 ある日、アリシアはファブール団の置かれている状況をラディアスに語り、何か名案はないか、と尋ねてみた。答えなど期待してはいなかった。
 しかしラディアスはしばらく黙した後、手を組もう、とだけ答えた。
 それだけで、2人は互いの意思を確認することができた。

 翌日、海賊から解放されたラディアスはその足で都に駆けつけた。
 王子が海賊に捕らえられたという報はすでに都中に知れ渡っていたが、ラディアス自身はそれをまっさきに否定した。彼は海賊に捕虜ではなく客分として扱われたと語り、そして海賊の首領アリシアとの交渉の末、ファブール団が王国軍の傘下に入ることを望んでいることを確認した、と父王に奏上したのだ。

 体制は速やかに整えられた。
 ラディアスは王の名のもとにアリシアと正式な契約を交わし、ラディアスの率いる精鋭海兵とアリシア率いるファブール団が連合して海賊を放逐することを決定した。連合軍は連戦連勝を重ね、ものの数ヶ月で海賊はことごとく駆逐され海は平和を取り戻した。
 この功績を称えられてアリシアは騎士に叙されて将軍となり、彼女の部下も軍の正規兵となった。

 後にアリシアはラディアスと婚姻して公爵に封じられ、ファブール家の開祖となった。